新島(にいじま)は、伊豆諸島を構成する島の一つであり、東京から南に約160km、静岡県下田市から南東に36kmの位置にある。
東京都新島村 — Wikipedia (新島)
新宿から京王線で30分、バスに揺られて12分。
調布空港の待合室で少しばかり飛行機を待てば、あとは40分そこそこで離島に立ち尽くしていた。
特に予定もなく、目標もない2日間の島暮らしのお話。
Day1
まだ朝の早々に着いたこともあり、そのまま宿から這い出て島内を散策する。
十三社神社
島の中枢、本村地区に堂々と建つ総鎮守。
茂るソテツの木々が離島らしさを醸す。海岸から持ち込まれた白砂が眩しい。
大三王子神社
自転車で海沿いを駆けて南東部。もうひとつ、大三山の頂に建つ神社に。
拝殿までの磨り減った階段、緑に飲まれる手水舎、戦前の日付が掘られた石の数々。
淡い色をした抗火石が、この島のあちこちで月日を晒している。
末社の段に。
町の道端に。
前浜海岸
ここからは折り返し、宿への帰り路。
海の気配のする路地に立ち入ったときの高揚感。
置き去られた夏休み。
此後に島の公営温泉まで自転車で一走りしたところで、一日目が暮れた。
船便を告ぐ遠い声を聞きながら、島の暗い夜の下で布団に沈む。
Day 2
ふらふらと本村を歩きながら羽伏浦海岸へ向かうことに。
流人墓地
本村に十三社神社と並び立つ、長栄寺の墓地から一段下ると流人墓地。
ひたすらの静けさ。白砂と陽光を透かす花々と緑の葉。
島の神社と墓地にはどれも白砂が敷き詰められていて、交通の疎らさも相まって奇妙な白々しさが漂う。「清浄な白々しさ」とでも言うような雰囲気。
“観音様”
長栄寺から緩やかな登り坂を駆け上がり、道すがら、水源地の木立に佇む観音社へ。
尾根筋を渡って一転、風を浴びながら下り坂を下れば
羽伏浦海岸
まだ終わらない夏が、ここに。
名無しの海岸
さらに羽伏浦海岸から砂浜沿いに南下、もしくは陸の農業区域から藪をくぐると、そこもまた海岸。
青い碧い海。霞む白昼夢のような遠い空気。小波の寄せては返す音、崩れる砂模様。
古い文化が生きている。昔から建ち続ける建物がある。穏やかな陽射しと海がある。知らない道を歩く高揚感がある。
ここにはそれだけがあって、それだけで十分だった。