2023年の夏、奈良県の東ノ川小中学校(廃校)に立ち寄った。あくまで外から眺めるに留めたが、今の状態を載せておきたい。
「TEL上北山1番」は現在も上北山村役場に繋がる
ダム湖沿いの山中に取り残された小中学校の廃墟だ。旅行貯金マニアには有名な、東の川簡易郵便局にほど近い場所に存在する。
1964年(昭和39年)、従来の校地が熊野川電源開発計画による坂本ダムの竣工に伴い水没するため、ダム建設補償により移転し、当時としては画期的な鉄筋コンクリート構造の二階建て校舎が建てられた。
しかし、集落群のダム湖への水没や、海外からの輸入材解禁などによる林業衰退によって急激な人口流出が発生した。それにより児童・生徒がゼロの事態が続き、5年後の1969年(昭和44年)には休校となった。また、東ノ川地区全体も無住となった。この新校舎で学んだ児童・生徒は計5名だけであった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/上北山村立東ノ川小中学校
先の引用のとおり、既に集落は消滅している。目の前には県道も通っているが、現在はダム湖の奥へ至る盲腸線となっているので、この道を実用する者は(道路とダムの管理者を除いて)存在しないだろう。実際のところ、国道425号からの分岐点はAバリでラフに規制されている。
ガラスは大半が割れているが、躯体は頑健でよく残存している。このさき数十年、この場所に立ち続けることだろう。
なお、この場所への(特に2輪での)アクセスはおすすめしない。
県道自体は250ccのSS崩れがなんとか走れなくはない程度に生き残っているが、路面は苔と鋭い落石で埋もれており、これでパンクしなかったのが本当に幸運だった。
たとえパンクを避けたとしても、苔に滑ればもはや路肩に期待できる防護物はなく、数十メートル下のダム湖へご案内となる。この場所では携帯電話は完全に圏外で、助けを呼ぶこともままならない。
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