Sigma fp L を購入し、数回利用した時点での簡単な感想。
pros:
レンズ屋としての矜持か、トーンとカラーの表現力は傑出している。
- シンプルに出てくる画が素晴らしい。それだけで買う価値がある。
- カラーモードは(デュオトーンを除き)どれも実用的に纏め上げられている。画の厚みや方向性は全く違うが、敢えて眺めたくなるようなJPEGの品質にはM型デジタルに似たキャラクターがある。
- 高画素ゆえにクロップズームを実用的に活用できる。2倍クロップしてもまだ2400万画素機より大きな画像を得られる(最大5倍)。45mm単焦点レンズの2倍クロップでおおよそ45-90mm相当であり、単焦点の軽量さと解像感を維持したまま、必要に応じて望遠域までカバーできる。ことスナップにおいては非常に強力。
- LrよりもCapture Oneとの組み合わせが良好。RAW現像のスタート地点の品質が非常に高い。
- とにかく軽く小さい。バッグに入れていても全く肩が痛まない。
- 付加機能としてボディ内でのシネマグラフ作成がある。個人的には良いツボを突いていて、写真が好きな人が作ったカメラ感がある。
cons:
スチル写真用として見るとやや欠点がある。
- 得られる画像の解像感がやや低い。主な理由は
- そもそもローパスフィルタ入りである
- 手ブレ補正がない上に高画素機なので手ブレに敏感。PC上で拡大すると細かくブレていることが多い
- 手ブレ補正がないためにSSを稼ぐ必要があり、ISO感度を上げがちになる
- ボディは明らかに持ち辛い。全体的に意図したデザインであることを承知していても、例えばシャッターボタンなどは不便な位置にある(他社機であればシャッターボタンはグリップ上面にあるものだが、fpにグリップを付加してもそれは実現できない)。
- Lマウントレンズは選択肢に乏しい。純正レンズのArtシリーズは重さと大きさに全く遠慮していないので、このボディには不釣り合い。純正レンズのContemporaryシリーズはDGのラインナップが不足気味であるし、プラの銘板は品位に欠ける。ライカレンズの価格はボディの2倍以上であってまた別の意味で不釣り合い。